日経平均、一時700円高 円安、米半導体株高が追い風
【東京本局 = 経済】週明け28日の東京株式市場で日経平均株価は続落で始まった。寄り付きは155円安の3万7757円。ただ寄り付き直後には上昇に転じ、すぐに切り返す展開だった。前引けは549円58銭(1.45%)高の3万8463円50銭。上げ幅は700円を超える場面がある。27日に投票が行われた第50回衆院選は、即日開票され、自公の過半数割れが確定した。政局が不安定化するとの見方から東京市場では売りが先行した。
ただ、東京外為市場で円が一時153円台後半をつける急速なドル高・円安が進んだ。前週末の米株式市場でフィラデルフィア半導体株指数が1%高となるなど半導体関連株が堅調に推移したことも追い風に、東京市場では買い戻しが進んだ。
加えて、前週末までに日経平均は1000円超下落するなど軟調だったことも割安感を生んだ。日経平均は事実上の選挙戦が始まった9日から25日までの12営業日で3%下落した。選挙期間中に日経平均が下落するのは、昭和35(1960)年以来およそ半世紀ぶりだった。
東証プライムの値上がり銘柄数は前引け時点で1414、割合にして85%だった。値上がり比率は9月下旬以来、およそ1ヶ月ぶりの高水準だった。値下がり銘柄数は208、変わらずが25だった。同時点のプライム売買代金は概算で2兆0641億円だった。
週明け28日の東京市場でTOPIXは続落で始まった。寄り付きは12.61(1%)安の2605.71ポイントだった。前引けは28.77(1.1%)高い2647.09ポイント。
日立建機(1.5%)が軟調。前週末の25日、25年3月期(今期)の連結純利益が前の期と比べて14%減の800億円になりそうだと発表した。従来予想の980億円から180億円下方修正し、一転減益となる。市場予想の950億円も下回り、業績不振を嫌気した売りが出ている。米国の金利の引き下げや円安効果が思ったように振るわず、建機の販売が鈍化している。
オリンパス(6.0%)が安い。寄り付き前の8時30分に、取締役の異動を発表した。シュテファン・カウフマン代表執行役社長兼CEO(最高経営責任者)が違法薬物の購入を告発する内部通報があり、調査したところ「当社の行動規範とは相容れない行為があった可能性が高い」と取締役会が判断した。判断は全会一致で執り行われた。
中外製薬(9.8%)が急反発。寄り付きは5.9%高の7280円。その後も買いが途切れず、今月15日につけた上場来高値7625円に紙一重のところまで上値を放つ場面がある。同社は前週末の25日、25年12月期(今期)の連結純利益が前の期と比べて16%増の3880億円になりそうだと発表した。従来予想の3300億円から上方修正し、増益幅を拡大する。今期配当の予想を見合わせ、従来の82円から上積み余地を残したことも買い方を支える。あわせて発表した24年12月期の第3四半期(1〜9月)の連結純利益は、前の期と比べて26%増の2957億だった。
ファナック(2.4%)が堅い。前週末の25日、25年3月期の連結純利益が前の同じ期と比べて0.9%増の7878億円になりそうだと発表した。従来予想の7843億円から30億円あまり上乗せ、一転増益となる。下期の為替レートを135円と、従来予想の145円から10円ほど円高方向に修正した。通期の為替レートも143円82銭と4円弱、円高修正した。足元の円相場は152円前後で推移しており、さらなる上乗せ余地を残した。
※株価は前引け時点