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OpenAI、競合への投資を制限 巨額調達で覇権固めへ

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【米国本局 = シリコンバレー・東京本局 = テクノロジー】OpenAIが、投資家に対し競合企業への資金提供を控えるよう要請していたことが3日、分かった。同社は66億ドル(約9700億円)の史上最大規模の資金調達を成功させた一方で、AI市場での優位性を確保すべく、投資家の行動を制限する異例の措置に踏み切った。

OpenAIのロゴが映ったスマホの後ろにサム・アルトマン氏のピントが合っていない画像が背景にある。

複数の関係者によると、OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、今回行われた新規資金調達に参画した投資家に対し、イーロン・マスク氏が率いるxAIやAnthropicといった競合への出資を控えるよう求めた。

同社は対話型AI「ChatGPT」を開発しており、Google、Microsoft、Metaといった巨大テクノロジー企業を筆頭に競争が激しくなっている。OpenAIは潤沢な資金を持つ巨大ITに対抗するため、このところ1兆円規模の資金調達を行なった。資金調達には、半導体大手NVIDIAやソフトバンクグループ、投資会社のThrive Capitalなどが参加した。OpenAIは向こう2年間の開発資金を確保した。AI開発競争の熾烈さを考慮すれば、ここ数ヶ月の間に決定的な技術的優位性を確立できるか否かが、同社の命運を左右する分水嶺となろう。

一方、当初参加が噂されていたAppleは、最終的に投資を見送った。Appleは6月のWWDCで「Apple Intelligenceは、これからも特化した外部のAIモデルを利用する」と発表しており、OpenAIが提示した競合他社への投資制限が戦略と整合しなかった可能性がある。

OpenAIは、AI開発競争における資金と人材の囲い込みを強化する狙いがあるとみられる。OpenAIは最近、立ち上げから支えてきた幹部の相次ぐ退社に直面していて、競合他社への人材流出が喫緊の課題になっていた。特に先月の、ミラ・ムラティ最高技術責任者(CTO)の突然の退社は、業界に衝撃を与えた。

一方、制限的な要求は投資家や規制当局の懸念を招く論を俟たない。AI技術が急速に成長する中、自由な競争環境の重要性を主張する声も少なくない。日本でも先日、公取委がAIの生成AI市場の実態調査に着手した。OpenAIの姿勢がイノベーションを阻害するものだとして批判を浴びる可能性も否定できない。

OpenAIは現在、非営利組織から営利企業主体の経営体制への移行を検討している。長年非営利を貫いてきたOpenAIにとっって、資金調達や人材確保が格段に容易になる。ただ、非営利という面で各国規制当局は自主規制で済ましてきた面もある。AIの倫理的開発という創業理念との整合性をどう保つかが課題となる。

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