Spotify、2四半期連続の黒字 有料ユーザーが急増
【東京総合 = テクノロジー】Spotifyが24日に発表した2024年第2四半期(4-6月)の単独営業利益は、2四半期連続の黒字となる2億6600万ユーロ(448.3億円)だった。総売上高は前年同期比20%増の38億700万ユーロ(6420億円)。1株当たり利益は1.33ユーロとアナリスト予想を上回る。決算を受けてSpotifyの株価は16%上昇した。
有料会員数は前年同期比12%増の2億4600万人、月間アクティブユーザー数(MAU)は14%増の6億2600万人。いずれも市場予想を上回った。
ARPU(一人当たりの平均収益)は前年同期比8%増の4.62ユーロ(779円)だった。広告収入も13%増の4億5600万ユーロと堅調だった。粗利益率は、29.2%と過去最高を更新し、前年同期から510ベーシスポイント改善した。
ダニエル・エクCEOは声明で「Spotifyは革新を続け、優れた製品だけでなく、ますます優れたビジネスであることを示している。我々の予想をも上回るペースで進展している」とコメントした。
エクCEOは、ユーザーの定着率を高める新機能として、ファンとクリエイターの交流を促進する機能や自動化技術の導入を挙げた。具体的には、オーディオブックの発売日をブックマークできる「カウントダウンページ」や、AIアルゴリズムによって常に更新されるパーソナライズされたプレイリスト「Daylist」などを紹介した。
Spotifyは過去1年間、収益性向上のためコスト削減を進めてきた。人員削減やポッドキャスト制作の縮小に加え、価格改定や新しいサブスクリプション層の計画、2023年末のオーディオブック導入など、コンテンツと価格戦略の見直しを行った。
あわせて公表した2024年第3四半期の業績予想は、SpotifyはMAUを6億3900万人、有料会員数を2億5100万人になりそうだと発表した。総売上高は40億ユーロ、営業利益は4億500万ユーロを見込む。粗利益率は30.2%とさらに改善する。
米経済メディアブルームバーグ通信のアナリストは「長期的な収益性は、ポッドキャスト、オーディオブック、音楽レーベルとの新たなロイヤリティ契約を活用する能力にかかっている」と指摘。「Spotifyのポッドキャストコンテンツ所有戦略が、特に30〜35%の利益率目標達成に向けた重要な成長ドライバーとなる可能性がある」と分析している。
一方で、AppleやAmazonなどの大手テクノロジー企業との競争は激化しており、Spotifyはサービスの差別化と収益性向上の両立を迫られている。高音質ストリーミングサービス「Spotify HiFi」の導入や、AIを活用した新機能の開発など、非音楽コンテンツへの投資も重要な戦略となる。