Apple、AIで攻勢 有料プラン展開、Googleの「Gemini」連携も視野に
namiten.jp〈日曜特報〉(月曜掲載)
【東京総合 = テクノロジー】Appleが生成AI市場での巻き返しに向けて攻勢を強めている。同社がAI機能「Apple Intelligence」の収益化を模索していることが1日、分かった。GoogleのAIモデル「Gemini」との連携も検討する。複数の関係者が明らかにした。
Apple Intelligenceは、iPhoneやMacなどに搭載する予定の新しいAI機能だ。当初は無料で提供するが、将来的には一部機能を有料化することを検討している。有料版は「Apple Intelligence+(プラス)」とし、追加機能を月額課金制で提供する。Appleの既存サービスiCloudと同様のビジネスモデルを採用した。
AI機能の一部有料化の動きは世界で広がっている。AIを動かすためには膨大な電力と計算能力、インフラが必要だ。OpenAIは、自前のChatGPTで20ドル(約3200円)の有料サービスを展開している。高度な会話機能や使用回数の増加などを特典として付与した。GPT-4oを超える性能を持つ「Cloude」を提供しているAnthropicも同価格で有料プランを提供したほか、Googleも自社の有料会員サービス「Google One」に高度なAI機能を特典として盛り込んだ。
Appleは、GoogleのAIモデル「Gemini」との連携も模索している。Appleは既にOpenAIとの提携を発表しているが、それに加えてGoogleとの契約も視野に入れる。
背景には、AI市場での遅れを取り戻したいAppleの焦りがある。AI開発で大きく遅れをとっているAppleは、自社モデルの開発を急がず、外部のAIを活用する戦略に転換した。OpenAIだけでなくGoogleとも連携することで、より強力なAI機能の実現を目指す。
連携には両社にメリットがある。Appleは、ライバルであるMicrosoftと関係が強いOpenAIの単独利用を避けられる。Googleにとっては、Appleの強力なデバイスやプラットフォームで事業展開が可能になる。
両社はすでに密接な関係にある。Googleは、Appleのブラウザ「Safari」のデフォルト検索エンジンとなるために、年間数十億ドルの契約料を支払っているとされる。しかし、AIの台頭により従来の検索エンジンの重要性が低下する可能性がある中、Googleにとって新たな協力関係の構築は急務だ。
プライバシー保護の重要性も高まっている。Appleは、ユーザーのプライバシーを守りながらAI機能を提供することに重点を置いた。この方針は、GoogleやOpenAIなど外部のAIモデルを利用する際にも貫く。
業界専門家は「Appleの戦略は、複数のAIモデルを組み合わせて、需要に合わせた最適なAIを提供することだ」と分析する。「GoogleやOpenAIなど、異なる特徴を持つAIモデルを統合することで、より強力で柔軟なAI機能を実現できる」(同氏)。
Apple Intelligenceの正式リリース日は今後詰めるが、今秋に発売が予定されるiPhoneのモデル発表までに詳細を明らかにする。