「N高」が新たに「R高」設立へ 定期テスト導入、久石譲氏作曲の校歌も
【東京総合 = 社会】角川ドワンゴ学園は、2025年4月を目途に新たな通信制高校「R高」を開設する。同学園が運営する「N高」「S高」に続く第3の通信制高校となる。急増する生徒数に対応するため、新校設立に踏み切る。R高に1期生として入学する生徒は、入学金が実質無料になるキャンペーンも実施する。
同日開催の「教育事業発表会」で構想を発表した。N高は創立から9年目を迎え、累計入学者数が6.6万人を突破。今年度は初めて前年度比の増加率が上昇に転換した。急激に生徒数が増加しており、S高に続く新たな高校設立の必要性が高まっていた。
R高等学校の本校は群馬県桐生市の旧群馬県立桐生女子高等学校の廃校跡地に設置する。R高の”R”には、REAL・RESPECT・RELATION・REVOLUTIONなど、生徒一人ひとりがさまざまな”R”を見つけ、自分だけの”R”を創れるようにという想いを込めた。桐生市は織物産業で知られ、歴史的建造物と自然環境が共存する独特の街並みを有する。東京駅からは特急で約100分でアクセスできるなど、交通網も充実している。
発表会には群馬県の山本一太知事も出席し、「群馬県は教育のトップランナー。新しい高校を500%歓迎する」と述べ、R高誘致への強い期待を示した。桐生市の荒木市長もメッセージを寄せ、「R高が世界を変える原動力になることを大いに期待している」と新校設立を歓迎した。
通学コースの拡大も計画している。通学コースの分校にあたる「キャンパス」は現在全国31都道府県・69カ所に開設されているが、2025年には北海道函館、富山、長野松本、静岡沼津などに新設し、将来的には合計100カ所に増やす。
教育システムの強化も図る。今年度は進路や実技の授業を増やした。来年度には定期テスト制度を導入する。N高は既に海外大学合格者数で全国2位で、国公立大学合格者数も増えた。通信制高校特有の課題である生徒と教師のコミュニケーション不足や成績把握の困難さを克服するため、定期テストを必修化して進路実績を底上げする。導入後は段階的に機能を拡張し、デジタルの強みを活かして学習提案などを行えるようにする。ただ、「勉強は不要」とし、「成績への影響もない」としている。
さらに、作曲家の久石譲氏による校歌制定も発表された。宮崎駿監督作品の音楽で知られる久石氏が作曲を担当するという。
一方で、課題もある。今月8日に発生したドワンゴのデータセンターへの大規模なサイバー攻撃で、N高グループの学習アプリ「N予備校」も一時アクセスできなくなった。6月は、10月入学生のレポート最終締切日にあたり、学校は締切日の延長など対応に追われた。ただ、システム上は延長されても、ユーザーには「締切日を過ぎています」と赤文字で表示されるなど、柔軟な対応ができなかった。生徒が安心して学習できるシステムづくりが急務だ。