欧州委員会、Microsoftに独禁法違反の疑い指摘 Teamsの抱き合わせ販売で
【東京総合 = テクノロジー】欧州連合(EU)の欧州委員会は25日、米Microsoftのビジネス向け通信ツール「Teams」の販売方法が独占禁止法(独禁法)に違反している疑いがあるとして、同社に異議告知書を送付した。同社への独禁法違反の指摘は15年ぶり。
欧州委は、Microsoftが2019年4月以降、TeamsをOffice 365やMicrosoft 365などの主要なオフィスアプリと抱き合わせて販売していることで、通信・コラボレーション製品市場での公正な競争を阻害している可能性があると指摘。顧客に対してTeamsの選択肢を与えていないこと、競合他社のツールとの相互運用性に制限を設けている可能性があることなども問題視した。
Microsoftは昨年、EUからの指摘を受けてWindows11に統合されていたTeamsを欧州で分離販売する施策を導入し、その後全世界で適用した。しかし欧州委はこれらの対応では不十分だと判断し、異議告知書の送付に踏み切った。
Teamsの統合を巡っては、2020年7月にSlack(現Salesforce傘下)が反競争的行為を申し立て、その後複数の競合他社からも申し立てがあった。欧州委のマルグレーテ・ベステアー上級副委員長は「リモートコミュニケーションおよびコラボレーションツールの競争維持は、イノベーション促進に不可欠」と強調した。
Microsoftのブラッド・スミス社長は英フィナンシャル・タイムズ紙に対し、「欧州委員会の懸念に対処するため、解決策を見出すべく取り組む」と述べ、協調的な姿勢を示した。
Microsoftは1990年代から2000年代にかけて、Windows Media PlayerやInternet Explorerの抱き合わせ販売で各国の規制当局から指摘を受けていた。当時、EU市場向けにMedia Playerを除いたWindows XP Nの提供や、ブラウザ選択画面の実装を余儀なくされた。
最終的に違反が認定された場合、Microsoftは最大で年間世界売上高の10%に相当する制裁金を課される可能性がある。さらに、過去の事例同様、製品の変更を強いられるとの見方がある。
EUは前日にもAppleにデジタル市場法(DMA)違反の暫定認定を下しており、デジタル市場における公正競争の確保と消費者利益の保護に向けて、より積極的な姿勢を示している。
規制を急ぐ背景には、欧州内の政治情勢もある。規制の積極的な整備に反対する極右政党が躍進しており、中道左派や中道右派が政権を握り続けられるかが不透明になっている。