KDDI、2024年3月期は営業利益10.7%減の9,615億円 1株3896円で自社株TOB
【東京総合 = 経済】通信大手のKDDI(9433)が5月10日発表した2024年3月期の連結決算(IFRS)は、売上高が前期比1.5%増の5兆7,540億円、営業利益が同10.7%減の9,615億円だった。純利益は同6.1%減の6,378億円となった。
売上高は、モバイル通信やライフデザイン事業が堅調に推移し、増収となった。一方、営業利益は5Gネットワーク関連費用の増加や電力料金の上昇などが響き、2ケタの減益となった。市場予想の1兆221億円(QUICK集計)も下回る結果だった。
来期の2025年3月期については、売上高が0.3%増の5兆7,700億円、営業利益が15.4%増の1兆1,100億円を計画。5Gサービスの拡大やコスト効率化を進め、2期ぶりに過去最高益を更新する。
1株当たり配当金は、前期の135円から140円に増配。配当性向は46.5%だった。来期の配当金は145円を予定し、段階的な増配を継続する方針だ。
また、自社株買いの取得も決議した。取得総額は3,000億円を上限とし、取得上限株数は8,700万株(発行済株式総数の3.78%)。自己株式1億1086万5892株の償却も発表した。
自社株買いの方法として、まず第3位株主のトヨタ自動車(7203)から4,980万株(同2.63%)を公開買付けにより取得する。買付価格は1株3,896円で、5月9日終値4,310円から約10%のディスカウントとなる。買付期間は5月13日から6月10日まで。さらに市場買い付けも実施し、最大で3,000億円まで自社株買いを行う。
KDDIは、5G通信ネットワークの構築など成長投資を積極的に進める一方、自社株買いによって1株当たり利益の向上と株主還元の拡充も図っていく考えだ。
なお、トヨタ自動車とは引き続き良好な協力関係を維持する方針。本自社株買い後もトヨタは10%以上の議決権を保有する大株主であり続ける見通しだ。