日本版DMA法案、国会提出 過度な規制、副作用も懸念、慎重な規制不可欠 振り返りフォーマット
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日本版DMA法案、国会提出 過度な規制、副作用も懸念 慎重な規制不可欠

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【東京総合 = テクノロジー】26日、政府は巨大IT企業(ビッグテック)への規制を強化する「スマホソフトウェア競争促進法」、いわゆる日本版DMA法案を閣議決定し、国会へ提出した。今国会中の成立を目指す。欧州連合(EU)が先月7日に全面施行したデジタル市場法(DMA)を参考に、Apple、Google、Amazonなどのプラットフォーマーによる独占的な支配を抑え込み、消費者の選択肢拡大を狙う。

法案では、アプリストアや検索エンジン、ネットショッピングなどで強い影響力を持つ事業者を「特定デジタルプラットフォーム提供者(特定PF事業者)」と位置づけ、一定の義務と禁止行為を課す。AppleやGoogleなどが指定対象となる見通しで、他社サービスとの差別的取り扱いの禁止や、利用者データの収集開示ルールの整備などが柱となる。

日本版DMAの主なポイント
  • EUで3月に施行したDMA(デジタル市場法)や、先行している海外の実例を参考
  • 他社アプリストアの参入可能に
  • 第三者による決済アプリの提供を可能に
  • 検索エンジン・ブラウザの設定を簡単に
  • 検索結果で自社サービスの優先表示をしてはならない
  • なお、セキュリティに問題のある仕組みやWebアプリなどは除く

具体的には、アプリストアについて、特定PF事業者に他社のアプリストアの利用や、アプリ内課金に外部決済の利用を認めさせたりする。検索エンジンでは、検索結果での自社サービスの優遇を禁止。取引先の情報を自社サービスに利用することも制限する。違反した場合、違反部門の売上高の最大20%の課徴金が科される。従来は6%にとどまっていた。

ただ、外部決済を先行導入した韓国でも、Apple・Googleが外部決済に高い手数料を課すなどしてすり抜けた。規制の実効性そのものに疑問符がつく。EUでは義務違反への制裁金は全世界売上高の最大10%だが、日本版では売り上げ部門の20%と、規制水準も低い。巨額の制裁金を課す例も、米国やEUなどと比べて少ない。

競争環境の改善やイノベーションの促進、消費者の利便性向上などのメリットが期待される一方で、過度な規制が市場の自由な発展を阻害しかねないとの懸念もある。特にアプリ審査の厳格さを売りにしてきたAppleにとって、他社製アプリストアの参入は大きなリスクとなり得る。Googleも検索結果の中立性と品質確保の観点から反発を示している。

実際、EUではDMA施行に伴い、AppleがiOSの仕様変更を迫られた。サードパーティ製のアプリやブラウザ、決済仲介事業などが解禁された。巨大ITに負担が伸し掛かるなど、技術促進を妨害を訴しているとの声もあがる。Apple自身が「多くのリスクが残る」と警告しているように、iPhoneの安全性低下も懸念される。

日本では、円安やAI需要の高まりを背景に、米テック大手の大型投資が活発化している。Googleはサイバーセキュリティの拠点を日本に設置。Microsoftは2年間で4400億円を投じ、AIデータセンターを強化する。OpenAIもアジア初の法人を「オープンAI・ジャパン」として立ち上げた。

DMA法案が、こうした前向きな投資マインドに水を差すことのないよう、慎重な規制設計が求められる。公正競争の確保が規制当局の大義である一方、自由な市場活動を過度に妨害しないよう探る難しい舵取りを日本政府は迫られている。

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