Apple、Macシリーズの刷新検討 販売数低迷で
【東京総合 = テクノロジー、経済】Bloombergは日本時間12日未明、米Appleが低迷するMacシリーズの刷新に乗り出すと報じた。人工知能(AI)に焦点を当てて設計された新たな独自プロセッサー「M4」を全モデルに搭載する計画だ。
同社は5カ月前に「M3」チップを搭載した初のMacを発売したばかりだが、すでに次世代のM4プロセッサーの生産に近づいているという。年後半から来年初頭にかけて、iMacや14インチMacBook Pro、16インチMacBook Pro、Mac miniなどの新モデルを投入する。
新型Macへの期待は大きい。同社の主力事業であるMacの売上高は2022年にピークを迎えたものの、2023年通期では27%減少。ホリデー商戦の2023年10-12月期も横ばいにとどまった。昨年10月のM3搭載モデル投入でも失速に歯止めがかからない中、AIによる巻き返しを図る。
M4チップは、エントリーモデルの「Donan」、ハイエンドの「Brava」、フラッグシップの「Hidra」の3種類を用意。AIの処理能力や次期macOSとの統合性を重視し、6月の開発者会議で詳細を説明する見通しだ。
AppleはMicrosoftやGoogleなどに比べ、AI分野で出遅れているとの指摘が根強い。ティム・クックCEOは「AIは未来を定義する。当社も多額の投資をしている」と強調するが、ChatGPTに代表される生成AI市場では後手に回っている。
11日の米株式市場でApple株は一時4%超上昇し、175ドル台を回復。ブルームバーグの報道が好感された格好だ。AIに対する市場の注目度の高さを映す。ただ、業績や競争力の低下を背景に、アナリストの57%が「買い」(直近三ヶ月)と推奨する水準まで落ち込むなど、楽観一辺倒ではない。
記録的なインフレに伴う部材コストの上昇や、主力のiPhone販売の不振なども重荷だ。AI対応の新型端末投入など、成長軌道に戻す具体的な戦略が問われている。