円安ドル高が加速、一時151円97銭と約34年ぶりの水準に
【東京総合 = 経済】27日の東京外国為替市場で円安ドル高が進行し、一時1ドル=151円97銭をつけた。2022年10月に付けた151円94銭を上回り、平成2(1990)年7月以来およそ34年ぶりの円安・ドル高水準となった。日銀審議委員の発言から、今後も緩和的な金融政策が継続するとの観測が強くなっている。
もっとも、昼ごろに鈴木俊一財務相が「(過度な変動には)断固たる措置をとる」と発言したほか、金融庁・財務省・日銀による3者会合が開かれたと伝わり、為替介入の警戒感から円は下げ幅を縮小している。20時ちょうど現在、151円20銭半ばで取引されている。
13時現在、主要通貨の対円レートは以下の通り。
- 米ドル/円: 151.64円(0.33円の円安)
- ユーロ/円: 164.13円(0.13円の円安)
- 英ポンド/円: 191.12円
- 豪ドル/円: 98.84円
- NZドル/円: 90.85円
- カナダドル/円: 111.53円
- スイスフラン/円: 167.73円
日銀は19日、マイナス金利政策の解除やイールドカーブ・コントロール(YCC)、ETF買い入れの終了を決定した。しかし、市場では既に複数のリークがなされており、関係者の間では「織り込んでいた」との声が多かった。決定内容の消化が進むにつれて、緩和環境は変わらないことに注目が集まり、日米の金利差が改めて意識されて、円売りが加速している。
また、ドル高の背景には、中国人民銀行(中央銀行)が27日、人民元の対ドル基準値を元安方向に設定したことがある。これを受けて元売り・ドル買いが膨らみ、アジア通貨全般に対してドル高が進んだ。
別通貨では、ドル円の上昇に連れてユーロ円が一時164.42円、ポンド円が191.40円付近まで円安が進んだ。米株高や商品価格の上昇を背景に、カナダドル買いも優勢だ。
今後については、日本の財務省幹部の発言を睨みつつ、円安・ドル高が続く可能性が高い。市場関係者の間では、日銀や米連邦準備理事会(FRB)の動向次第では、年内に1ドル=155〜160円に達するとの見方もある。
円安を好感し、トヨタ自動車の株価は株式分割考慮後の上場来高値を更新した。日銀の植田和男総裁は「家計のマインド指標は緩やかに改善」と述べた一方、田村知之審議委員は「当面は緩和的な金融環境が継続する」との見方を示した。日本の金融当局による為替介入がリスク要因として意識されている。