中古車販売大手、ビッグモーターの保険金不正請求問題をめぐり、国土交通省は26日、道路運送車両法違反の疑いがあるとして同社幹部からヒアリングを始めた。施行規則62条に基づき「依頼されない点検・整備を不当に行い料金を請求しないこと」が規定されている中、同社の整備工場で意図的に車体を傷つけるなどの不正行為が行われていた疑いがある。
聴取には26日付で就任した和泉伸二社長ら5人が出席した。
特別調査委員会の報告書では、事故車両の修理代を水増し請求するため、従業員が車体を故意に傷つけるといった手口が明らかにされた。サンプル調査では、計2717件のうち4割超の1198件で不適切な行為が行われた疑いが確認され、「器物損壊罪にも当たり得る非常に悪質な行為だ」と指摘されていた。
国交省は、事実関係を確認した上で、修理工場への立ち入り検査も視野に対応する考えを示している。最終的に違反が認定された場合、整備工場ごとに行政処分を検討し、民間車検場の指定や工場の認証取り消し、一定期間の業務停止などの処分が予想される。
ビッグモーターの整備工場は2022年9月期で30カ所あり、すべての工場で認証や指定が取り消される事態になれば、経営面への影響も小さくない。また、今回の不正行為は刑事責任も問われかねず、報告書は「刑法の器物損壊罪にも当たり得る非常に悪質な行為」と言及している。
一方で、ビッグモーター創業者の兼重宏行前社長(26日付で辞任)は、不正行為が組織的ではないとの立場を示し、経営陣の関与を否定している。
不正が相次いだ原因として従業員への過剰なノルマを挙げ、「不合理な目標設定がノルマとなり、板金・塗装事業の元本部長が重圧をかけていた」と説明していた。
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- 2023年7月6日、自動車保険の大規模な不正請求が明らかとなった。2022年3月に内部告発で問題が明らかになり、その後の報道や損保会社からの要求を受け、2023年1月30日に特別調査委員会を設置した。
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- 不正請求の被害を受けた一社の東京海上日動火災保険関係者によると、内部告発を受けたサンプル調査により、300件を超える不正が発覚し、故意に車を傷つける悪質な事例も含まれていたことが判明した為、第三者による調査を求めた。
- 水増し請求を実施していたのは、ビッグモーターが保有する全国33工場の全てであり、工場長の指示により多岐に亘る不正行為が組織的に実施されたことが判明している。
- 破損していない箇所を故意に破損させる行為として、ヘッドライトのカバーを割る、ドライバーで車体をひっかく、靴下に入れたゴルフボールを振り回して車をたたき雹害で受けた傷を拡大させる事例などが確認された。
- 破損していない箇所を修理する行為として、不必要な部品交換を実施する、損傷のないパネルへ板金を行った事例などが確認された。
- 修理の詐称行為として、塗装品質を実際より高く偽る、損傷があるように見せかける写真を提出する事例などが確認された。
- 不正請求の規模は保険修理の4割に上り、本来必要のない保険利用により等級が下がった保険契約者がいる可能性があるため、損保各社は救済に向けて動く予定となっている。
- また、損保会社からビッグモーターに対しての保険金の返還請求も開始されている。
- 不正請求は5年以上に亘り行われており、15年8月から18年2月に在籍した板金や塗装部門の元本部長の指示により開始されたとみられ、「@(アット)」の隠語により、損傷状態により費用が大きく上下する筈の事故修理に対し1台当たり14万円の収益ノルマが課せられ、組織的な圧力がかけられた結果、不正が横行することとなった。また、18年に内部告発が行われたが、実態調査を行わず、不正行為が継続された。
- 同社従業員からは、「ノルマを達成できない場合、降格や左遷をされる」と証言されており、また、問題が発覚して以降も引き続き、ノルマの達成指示が行われていると証言されている。
- また、同従業員からは、同社本部が社内連絡の削除などの証拠隠滅を図っている状況があるとの証言もされている。
Wikipedia-ビッグモーター#損保各社への不正請求・故意による顧客車両の破損・社員への強権的な処分より(文章を一部改変しています(リンクの削除等))。
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