Apple株、一時2.5%安 EUの制裁金約2900億円受け収益圧迫懸念
【東京総合 = 株式】Apple株が急落している。EUの規制当局がAppleに対して制裁金約18億ユーロ(約2900億円)を科すと発表したことを受けて、NASDAQ市場で4日、同社の株は一時前営業日比で2.5%超下落し、昨年10月末の水準に後戻りした。EUは、独占的な力を背景に、音楽ストリーミングを巡ってSpotifyに圧力をかけていたことが反トラスト法(独占禁止法)に違反すると判断した。制裁金は当初の報道で5億ユーロ(約800億円)と伝えられていた。
Spotify vs Appleの構図は長く続いてきた。ことの発端は、Spotifyが2019年から2022年にかけて、管轄の欧州委員会(EU)に、AppStoreのおすすめ欄や通知でSpotifyをはじめとした、同社と競合するより安価なサービスを意図的に排除したと通報したことだ。今回の制裁金はこれを受けたもの。
Appleは通報を受けて、Spotifyの通報を受けて公式ホームページで「Spotifyの主張を受けて」のタイトルで反論を展開。「Spotifyは何年もApp Storeを通じて自分たちのビジネスを劇的に成長させてきましたが、App Storeのエコシステムから得られる利益すべてを、自分たちが恩恵を受けてきた市場(App Store)に支払を一切することなく独り占めできないかと考えているのです」とSpotifyの主張に真っ向から反論した。
続けて「Spotifyがリスナーの好きな音楽を配信しても、それを作ったアーティスト、ミュージシャン、ソングライターに支払われる金銭はきわめて小額であるため、楽曲を提供しているクリエイターたちと裁判にまで至っています」とSpotify側を攻撃した。
ただこの主張を受けてもEUや各国の規制当局の動きは変わらず、昨年にはAppleが第三者アプリストアを認めるに至った。しかし、Appleは100万回以上インストールされているアプリには手数料を科すと明らかにすると、Spotifyや規制当局の対応は一変。「何も変わっていない。結局金儲けしか考えていないのだ(Spotify関係者)」と返って関係が悪化することになった。
Appleは今回の決定を受けて声明を発表。「AppStoreは公平なプラットフォームとして、開発者同士が競争する場所を提供している。EU側の決定は証拠がない。」と、不服申し立ての手続きを行う方針を明らかにした。
市場は、英フィナンシャル・タイムズが2月に約5億ユーロの制裁金を科すと報じていたため、ある程度の受け止める体制は整っていた。しかし、蓋を開けてみると18億ユーロ(約3.5倍の)の膨大な額だったため、株価急落につながったと見られる。
2023年12月期の同社の純利益は約330億ドルで、現在のレートに換算すると今回の制裁金は約5%の減益要因になる。