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フィッチ、日産自を1段階格下げ 「ダブルB」に

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【東京本局 = 東証】(プライム、コード7201、14時)格付け会社フィッチ・レーティングスは25日、日産自動車の長期発行体格付け(IDR)と無担保一般債務格付けを「BB+」から「BB」に1段階格下げすると発表した。今後の格付け見通しは「弱含み」とした。日産はホンダとの経営統合が頓挫したことに加え、足元ではトランプ大統領がぶち上げた自動車関税による収益圧迫や販売不振で経営再建に乗り出している。リストラなどの費用を計上した影響で、25年3月期(前期)の連結純損益は7000〜7500億円の赤字(前の期は4266億円の黒字)と、00年3月期を下回って過去最悪の業績に転落する見通しだ。再建への道のりは一層険しさを増している。

フィッチは日産の自動車事業の業績について、従来は26年3月期(今期)に損益均衡を見込んでいたが、今回の発表では業績回復は27年3月期(来期)に後ろ倒しになりそうだとの見解を示した。中期的にはリストラ費用の減少や新型車投入による業績回復を見込むとした上で、短期的な市場環境の変化に「耐えられる格付けの余裕はなくなっている」として格付け見通しを「弱含み」と判断した。

日産は24日、25年3月期(前期)の連結純損益が前の期4266億円の黒字から一転して、最大7500億円の赤字になったようだと発表した。従来予想の800億円の赤字から大幅に下方修正し、QUICKコンセンサス(13社)の1126億円の赤字も下回る。

北米や日本などの工場を中心とした資産の価値見直しによる5000億円超の減損損失と、人員削減など構造改革費用を600億円織り込んだことで、収益を圧迫した。赤字幅は00年3月期の6843億円を上回り、過去最大となる。世界販売台数は前期比3%減の335万台になったもようで、従来計画を5万台下回った。

日産の収益構造の弱点についてフィッチは「米国での販売台数の半分を米国外で生産しているため、米国の関税実施による影響を強く受ける」と指摘。北米以外からの米国向け輸入車に対する25%の関税と、メキシコ及びカナダからの輸入品への平均20%の関税により、今期の営業利益率が2.3%押し下げられる可能性があるとの分析を示した。日産が昨年11月に発表した全体の2割にあたる100万台の生産台数縮小や9000人の人員削減といった構造改革の効果が出るまでには「少なくとも2〜3年かかる」とした。

4月に新社長に就任したイバン・エスピノーサCEOは、5月にも追加のコスト削減策を発表する見通しだ。日産は九州工場の米国向け車種の一部生産を米国に移管するなどの対策を進める方針だが、フィッチは「生産のシフトは緩やかなものとなるうえ、追加コストが必要となる。米国での生産コストは高くなる可能性が高く、収益性への圧力が増大する」と分析している。

フィッチは日産の資本構造については「より高格付けの競合他社と同程度の水準を維持する」としており、同社の財務構造と柔軟性は引き続き事業を支える要素になるとの見方を示した。一方で、2月に打ち切られたホンダとの合併交渉について言及し、日産が「規模が比較的小さく、バッテリー式電気自動車の販売で競合他社に遅れを取っている」点を指摘。三菱自動車を含めた3社による電動化提携は「極めて重要」と評価した。

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