米最高裁、TikTok禁止法を「支持」 バイデン氏は法律の施行見送り
◆0時15分◆ ◇0時40分更新◇
【米国本局=シリコンバレー・東京本局=テクノロジー】米最高裁は18日、中国ByteDanceが運営するTikTokに対し、米事業の売却か米国でのサービス停止を求める「TikTok禁止法」の有効性を認める判断を全会一致で示した。「TikTokは1億7000万人の米国人に向けた重要な表現・交流の場を提供している」としながらも、「国家安全保障上の懸念に対処する必要がある」として、議会の判断を支持した。
中国からの情報収集への懸念から超党派で成立した同法は、19日に発効する。ただ米政府の関係者はバイデン大統領が任期最終日となる19日までの執行を見送る意向だと明らかにしている。来週20日に就任するトランプ次期政権下での対応に委ねる方針を示した。
トランプ次期大統領は18日、習近平・中国国家主席と約4年ぶりとなる電話会談を実施した。「貿易やTikTok、フェンタニルなど多くの問題について有意義な対話ができた。習主席とともに世界の平和と安全に向けて全力を尽くす」と自身のSNSで明らかにした。20日の大統領就任式には中国の韓正副首相が出席する予定で、これは中国の高官が米大統領就任式に出席する初めてのケースとなる。
最高裁判断を受け、ByteDanceは数日以内に買収先を決めるか、AppleとGoogleのアプリストアからTikTokを削除する必要がある。TikTok側は分社化は技術的に困難としており、中国当局も売却に反対する立場を示している。
トランプ次期政権は、就任後にTikTok救済に動く構えだ。マイク・ウォルツ次期大統領補佐官(国家安全保障担当)は「有効な売却案が提示されている限り、最大90日の期限延長が可能だ。トランプ大統領はTikTokの存続に向けた時間的余裕を確保できる」と述べた。
TikTokのシュウ・ズー・チューCEOは20日に行われるトランプ氏の大統領就任式に出席する。Meta(旧Facebook)のマーク・ザッカーバーグCEOやOpenAIのサム・アルトマンCEOらIT業界トップと並び、来賓席に着席する見通しだ。同氏は昨年12月にもトランプ氏と会談しており、関係改善を模索している。
米上院民主党トップのシューマー院内総務も16日、「トランプ政権や両党と協力し、国家安全保障を守りながらTikTokを存続することに取り組む」と話した。影響力のある発信者らの混乱を避けるには、売却交渉により多くの時間が必要だと指摘している。
一方でアーカンソー州選出のコットン上院議員(共和党)は「TikTokは中国共産党のスパイアプリで、子供たちを中毒にし、データを収集し、有害なコンテンツで標的にし、共産主義のプロパガンダを広めている」と批判。売却期限の延長に反対する立場を示した。
証券取引所への報告によると、TikTokは新法が発効する19日以降、自主的にアプリの使用を止める措置を講じる。起動時には規制法についての情報を掲載したウェブページへ利用者を誘導する。また米メディアによると、中国当局は事業売却の仲介役として、トランプ氏と親交の深いイーロン・マスク氏の起用を検討しているという。
[速報]米最高裁、TikTokに売却か使用禁止を命じる法律を支持 バイデン大統領は任期中の施行見送りへ