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自公過半数割れ、石破政権に暗雲 野党は政権交代視野

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 第50回衆院選は27日、投票が行われ即日開票された。投票率は53%で、戦後3番目に低かった。前回の55%から低下した。自民と公明をあわせた政権与党の議席数は、総定数465の過半数(233議席)を下回る215にとどまった。自民党は191議席と、公示前の247議席から大きく減らした。公明党も32議席から24議席に後退した。立憲民主党は公示前から50議席増の148議席を確保し、第2党として存在感を高めた。

 与党の過半数割れは平成21(2009)年の第45回衆院選以来、15年ぶり。石破首相は政権与党の枠組み維持に向けて国民民主党など野党への協力要請を模索する考えだが、国民の玉木代表は連立樹立に否定的な姿勢で、政権運営は極めて厳しい局面に入る。

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 結果を受け、自民党の小泉選対委員長は28日未明、辞任する意向を固めた。産経新聞が報じた。複数の党幹部は28日、「与党過半数という目標を達成できなかった政権運営の結果は重い」と指摘し、石破体制に不満を吐露した。衆院当選10回以上のベテラン議員からは「政治資金問題への対処が不十分で、特に2000万円問題は国民の不信感を増幅させた」との声が漏らした。

 石破首相は28日午前の臨時役員会で、経済対策や外交日程を挙げ「国民生活に直結する課題に全力で取り組む」と言明。首相に近い関係者は「政権空白は国益を損なう」と述べ、新たな連立構想に向けた水面下の調整に入る姿勢を示した。ただ党内からは「このままでは参院選も危うい」との懸念も出始めており、政権の先行きは不透明感を増している。

 自民は政治資金問題に対する有権者の懸念を拭えなかった。政治資金収支報告書への不記載問題で非公認となった候補者の一部が当選を果たしたものの、選挙戦終盤に表面化した「2000万円問題」が打撃だった。

 旧安倍派の有力者「5人衆」は萩生田光一元経済産業相、松野博一前官房長官、西村康稔元経産相、世耕弘成元経産相の4人が当選した一方で、高木毅元復興相が福井2区で落選。いずれも政治資金問題で処分を受け、自民から公認をもらえず小選挙区のみで戦う「背水の陣」だった。

 公明党も大阪で日本維新の会との対決を強いられ苦戦。石井啓一代表の埼玉14区で国民民主の候補に苦杯を喫して落選し、政権与党として存在感を示し続けてきた同党に大きな打撃となった。

 国会運営の焦点は11月下旬までに召集される特別国会での首相指名選挙に移る。立民の野田代表は政権交代に意欲を示すが、同党も過半数には届かず、連立の枠組みをめぐる与野党の駆け引きが本格化する。

 憲法の規定で、特別国会は衆院選から30日以内となる来月26日までに召集され、首班指名選挙が実施される。投票で投票総数に白票を含んだ総数で過半数を獲得した候補が103代首相に指名される。過半数を獲得する候補者がいない場合は、上位2人による決選投票になる。仮に決選投票でも過半数に達しない場合は相対得票が多い候補が首相に選出される。

 政権の枠組み構築を巡る与野党の攻防は一層激しさを増す。現状では、自民党の石破氏と立憲民主党の野田氏による決選投票が確実視されている。決選投票になれば、国民と維新が白票を投じる可能性がある。自公が少数与党として政権を支援する構図になる。

 首班指名選挙で野田氏に投じる票数が石破氏を上回れば、野党連合の政権が誕生する。野田氏は27日、自公が過半数割れすれば「首相指名を取りにいくのは当然だ。政権交代こそ最大の政治改革と言った以上は追求したい」との考えを示した。フジテレビの番組で発言した。

 首班指名選挙の結果次第では、石破政権は参議院の自民・公明が過半数を維持する一方で衆議院で過半数に届かない「ねじれ国会」下での運営を強いられる。

 第3党の日本維新の会は38議席を獲得。国民民主党は4倍増の28議席と第4党へ躍進し、第3勢力を握る存在として存在感を高めた。両党は自民党との連立政権には慎重な姿勢を示している。

 主要閣僚では牧原秀樹法相が埼玉5区で、小里泰弘農相が鹿児島3区でそれぞれ落選。石破政権の求心力低下は避けられない情勢となっている。

(東京本局 = 政治)

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