LINEアプリに通販機能搭載へ グループ内競争に疑問符も 振り返りフォーマット
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LINEアプリに通販機能搭載へ グループ内競争に疑問符も

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【東京本局=テクノロジー】LINEヤフーは2024年度中にも対話アプリ「LINE」にネット通販機能を追加する方針を固めた。中華系サービスの急成長を背景に、電子商取引(EC)の市場規模は足元で拡大している。国内トップレベルの情報基盤を活かして、Amazonや楽天に対抗する。ただ、LINEヤフーがグループ内でのサービス一本化を進める中で、「Yahoo!ショッピング」などと競合する新規同業の立ち上げには疑問符がつく。

新たに立ち上げる電子商取引(EC)モールは、LINEアプリのトップ画面に「ショッピング」ボタンを新設し、雑貨や食品など幅広い商品を取り扱う。支払いはスマートフォン決済のPayPayなどで行い、LINEアプリ内で購入が完結する仕組みだ。LINEの高い利用頻度を武器に、日常的な接点からの購買を促す戦略を取る。

LINEヤフーによると、LINEの国内利用者は9700万人で、1日1回以上アプリを利用する人の割合は86%に上る。20~30代を主な顧客層として見込み、友人との会話のついでに商品を閲覧・購入してもらう流れを作る。また、ショッピング専用のLINEアカウントを新設し、おすすめ商品を直接提案する仕組みも導入する。

ただECへの新規参入はLINEヤフーが進めてきたグループ内サービスの整理統合と相反する。同社は2024年6月、スマートフォン決済「LINEペイ」を2025年4月30日に終了すると発表。その際、「最適な経営資源の配分を検討した結果、決済サービスはPayPayに一本化する」と説明していた。

LINEヤフーは銀行や証券など、他の金融サービスからの撤退も決定している。PayPayの銀行や証券と重複する金融サービスの解消を目的としていた。

一方で、今回のEC事業参入は、既存のYahooショッピングと競合する可能性が高い。Yahoo!ショッピングの成長が鈍化する中、新たな収益源を模索する狙いは理解できるものの、グループ内での重複サービスを増やすことになる。YahooショッピングはPayPayがAmazonと支払い連携を発表した際にも反発してきた。今回LINEとも競合関係になることで、グループ内での競争は苛烈なものになる。

関係者は「LINEヤフーの戦略に一貫性が欠けている」と指摘する。「サービスの一本化で経営効率を上げる方針と、新規事業で成長を狙う姿勢が混在している。グループ全体の方向性を明確に示さなければ、投資家や利用者の信頼を失いかねない」と警鐘を鳴らす。

LINEヤフーは新サービスについて「付加価値の高い商品を重点的に扱うECとして、Yahoo!ショッピングとは異なるブランディングを目指す」と説明する。しかし、両サービスの差別化や、グループ全体としての整合性については具体的な説明がない。

国内のEC市場は、Amazonや楽天に加え、中国系のTemuやSHEINなどの参入で競争が激化している。経済産業省によると、2023年の国内EC市場規模は前年比5%増の14兆6760億円に達した。一方、Yahoo!ショッピングの取扱高が2期連続でマイナスとなるなど、LINEヤフーは成長に陰りが見えている。

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