Epic Games、EU向けiPhoneアプリストア開設 日本でも25年に新ストア
【東京本局 = エンターテインメント】米Epic Gamesは16日、EU域内のiPhone向けアプリストア「Epic Games Store」を開設した。人気ゲーム「フォートナイト」など自社製3タイトルの配信からスタートし、2025年初めには外部開発者のゲームも取り扱う予定だ。AppleとGoogleによる寡占状態が続いていたアプリストア市場の競争促進が期待される。
Epic Gamesのティム・スウィーニー最高経営責任者(CEO)は「新規ストアの誕生で開発者の選択肢が広がり、より大規模で質の高いゲーム制作が可能になる」と日本経済新聞の単独インタビューで語ったと日本経済新聞電子版は16日、報じた。同社は年内に1億人の利用者獲得を目指しており、将来的には数千のアプリを配信する計画だという。
アプリ内課金の手数料率を12%に設定し、最大30%を徴収していたAppleのApp Storeより大幅に低く抑えた。これにより、開発者の収益増加や、消費者向けアプリ価格の低下も期待される。
Epic GamesがEU域内でiPhone向けアプリストアを開設できた背景には、EUの新たな規制「デジタル市場法(DMA)」がある。DMAは今年3月に全面適用され、AppleやGoogleなど6社22サービスを「ゲートキーパー」と位置付け、厳しい規制を課している。
日本でも今年6月、「スマホソフトウェア競争促進法」が成立。2025年末までの施行を予定しており、フォートナイト公式は同法律が国会を通過した6月、「25年には日本でもiPhone向けストアを立ち上げる」と明言した。
一方で、新たな課題も浮上している。AppleはEUで自社以外のアプリストアを認めた代わりに、人気アプリの開発者向けに「コア技術料」という新たな手数料を設定。コア技術料は、年間にアプリのインストールが100万回を超える場合に、毎回0.5ユーロ(約80円)を徴収する。また、政府が指定する税金(デジタルサービス税など)の対象となる管轄地域で、そのコストを相殺するために請求される追加料金も含まれる。
Epic GamesとAppleの対立は長期化しており、2020年には「フォートナイト」を巡る訴訟にまで発展した。米連邦地裁はAppleの独占を認定しなかったものの、アプリ内で外部決済へのリンク設置を認めるよう命じている。