Appleの「Tap to Pay」 EU、独禁法捜査打ち切りへ
namiten
【欧州本局 = スウェーデン】欧州連合(EU)の欧州委員会は11日、米AppleがiPhoneの非接触決済機能「Tap to Pay」を競合他社に開放する方針を受け、独占禁止法違反の調査を打ち切ると発表した。同社は巨額の制裁金を回避する。
欧州委のマルグレーテ・ベステアー上級副委員長は「Appleの約束に法的拘束力を持たせる」とし、今後10年間にわたり欧州経済領域(EEA)内のサードパーティー開発者に対し、無償でNFC(近距離無線通信)技術へのアクセスを許可することを確認した。
決定を受け、AppleはiPhoneのエコシステムから他社の決済サービスを排除できなくなる。Apple Pay以外の選択肢が消費者に提供する法的拘束力が生まれる。EUは「より安全で革新的なモバイルウォレットの選択肢が広がる」と意義を強調した。
日本でも今年5月からiPhoneを活用した新たな決済サービス「iPhoneのタッチ決済」の提供が始まった。中小企業から大手小売業まで、追加のハードウェアなしでiPhoneを決済端末として利用できるサービスだ。GMOフィナンシャルゲートやリクルート、Squareなどの決済プラットフォームが既に対応を開始している。
近年深まるAppleと欧州委員会の軋轢が緩むことになるが、デジタル市場法(DMA)などの新規制への対応を迫られている状況に変わりはなく、圧力は依然として強い。先日には同法に違反する可能性があるとしてEUが調査を始めていた。
広告