ニュース

ローソン、アバター店員は「有人」 酒税法の改正を政府に提言へ

namiten

【東京総合 = 社会】コンビニ大手のローソンは26日、アバター(分身)による遠隔接客を「有人」と同等に扱うよう、政府に酒税法の改正を提言する方針を明らかにした。日経電子版のNIKKEI Digital Governanceのインタビューで、同社の月生田和樹執行役員が語った。

ローソンのアバターレジ。セルフレジの横に、リモートで接続された店員がアバターで表示されている。
ローソンはアバターレジの普及を推し進めている

提言の中核になるのは、遠隔接客やアバターによる接客を「有人」と認めるよう求める点だ。現行法では、実店舗に実店員がいることが前提となっており、アバター店員による酒類の年齢確認や販売ができない。月生田執行役員は「AIによる年齢推定技術の活用など、新たな年齢確認方法の法的認可を求めていく」と述べた。

ローソンは2022年11月からアバター接客を開始。現在は12店舗に拡大し、約40人の従業員が自宅からリモートで接客を行っている。心身に障害がある人でも勤務できる新しい働き方として注目を集めている。同社は今後、この仕組みを全国の店舗に順次導入する計画だ。

酒税法改正が実現すれば、アバター店員による酒類販売が可能になるだけでなく、無人店舗の24時間営業も視野に入る。月生田執行役員は「深夜帯の人手不足解消や、過疎地での店舗維持にもつながる」と期待を寄せる。

改正が実現すれば、人手不足や新規出店数の伸び悩みで苦戦する国内コンビニ業界全体にとって転換点となる可能性もある。業界関係者によると、セブン-イレブン・ジャパンやファミリーマートも類似の技術導入を検討しており、ローソンの提言が業界全体の後押しとなる見込みだ。

ローソンは今年、KDDIと三菱商事によるTOBが成立し、来月にも上場廃止になる見通しだ。KDDIのデジタル技術を活用し、「未来のコンビニ」の実現を目指す。同社は来年、一号店オープンから半世紀の節目を迎える。店内調理や商品陳列にもロボットを導入し、全面的な店舗のデジタル化を急ぎたい考えだ。

一方で、未成年者への酒類販売防止の実効性確保が課題となる。ローソンは、AIによる年齢推定の精度向上や、デジタル庁が推進するマイナンバーカードを使ったタッチの本人確認システムの構築など、複数の案を検討している。

コンビニ業界は新たな成長戦略を模索している。出店数・日販が業界3位のローソンにとって、上位2社との差を縮める機会にもなる。酒税法改正の実現を足がかりに、たばこ事業法や薬機法など関連法規の見直しも視野に入れている。

月生田執行役員は「アバター店員の導入は、単なる省人化ではなく、新しい顧客体験の創出につながる」と強調する。

※SNSシェアの場合、必ず利用規約をご確認ください。
コンテンツの翻案、リンクを含まない引用・スクリーンショットの共有は法律・法令、当サイト利用規約で禁止されています。
サイト内PR

Google Newsでnamiten.jpをフォロー

広告
namiten.jp
namiten.jp
広報
namiten.jp広報班にお問い合せがある場合、以下の通りお願いします。

当サイト掲載情報について、法的請求がある場合…お問い合わせへ
当サイト掲載情報について、不備や依頼等がある場合…メール、Twitter DM等
広告
記事URLをコピーしました