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Googleが「Google for Japan 2024」開催 ハッシュタグ検索強化

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【東京総合 = テクノロジー】Googleは19日、東京都内で記者発表会「Google for Japan 2024」を開催し、日本向けの新サービスと最新の取り組みを発表した。中でもGoogleは、、AIを活用した気象予測サービス「Googleナウキャスト」と、ハッシュタグによる検索機能の日本導入を強調した。

Googleナウキャストは、同社が2020年に発表した降水予測のためのAIモデル「MetNet」の最新版「MetNet-3」を基盤としている。日本では気象情報サービス大手のウェザーニューズとの協業により、MetNet-3に日本独自の学習データを組み合わせたカスタムモデルを開発。3km四方の解像度で最大12時間先まで5分ごとの雨量・雪量を予測できるという。従来のシミュレーションモデルと比べ、観測から予測までの時間を1秒以内に短縮した。近年頻発するゲリラ豪雨などへの対応力向上が期待される。

MetNet-3は、Googleが2020年に発表した降水予測モデルMetNetを改良したもので、2023年11月に発表された最新版。物理法則に基づいたシミュレーションとは異なるアプローチが特長だ。過去の膨大な気象データをニューラルネットワークに学習させることで、現在の観測データから直接、未来の気象パターンを予測する。

MetNet-3では、モデルを改良し、機械学習を最適化することで、予測精度の向上を実現した。時空間特性を効果的に捉えるために、時系列データ処理に強みを持つConvolutional LSTMと、グローバルなコンテクスト把握が可能なAxial Attentionを組み合わせた。局所的な降水パターンの変化と、広域的な気象場の影響を同時に考慮した高精度の予測を可能にした。

MetNet-3の予測性能は、米国海洋大気庁(NOAA)が運用する最新の数値予報モデルHigh-Resolution Rapid Refresh(HRRR)と比較されている。米国での検証では、7〜8時間先までの予測において、MetNet-3がHRRRを上回る結果となった。さらに計算速度においては圧倒的で、米国全土の予測をわずか数秒で完了できる。従来モデルでは1時間近くを要していたことを考えると、その差は歴然だ。

MetNet-3は、高解像度衛星画像とドップラーレーダーによる観測データを入力として利用する。モデルの学習には、日本でいえば国土交通省が運用するXRAINのような、広域かつ稠密な観測網のデータ蓄積が不可欠だ。今回発表されたGoogleナウキャストでは、ウェザーニューズの協力の下、日本域の過去の観測データを追加学習させることで、日本の気象状況に最適化したモデルに仕上げた。

リアルタイム性の高い降水ナウキャストは、災害大国である日本には必須だ。ゲリラ豪雨などの突発的な現象をいち早く察知し、適切な警報発表や避難の判断につなげることで、人的被害の最小化が期待される。農業や交通、イベント運営など、幅広い分野での活用も見込まれる。

イベントでは、日本限定の新機能として導入されたハッシュタグ検索も発表した。SNSなどで話題のトレンドをリアルタイムに検索できる。例えば「#写真好きな人と繋がりたい」などのハッシュタグで検索すると、ソーシャルメディア上の最新投稿や関連するブログ記事などがまとめて表示される。日本語は単語の区切りに空白を用いない。英語とは違う構造から、文章をハッシュタグにする文化が根付いているのは日本だけだ。他国に比べ、関心テーマを掘り下げて知りたいという検索ニーズが高いことも機能を開発を後押しした。

また、東京大学の松尾 ・ 岩澤研究室と提携し、全国47都道府県の地域課題解決に生成AIを活用する取り組みも紹介された。大阪府では就職の「ミスマッチ」解消を目指し、企業と求職者双方に向けた生成AIソリューションの実証実験を進めるという。

健康・医療分野における研究成果も発表された。公益財団法人がん研究会との共同研究により、乳がん検診の精度をAIで7.6%向上させることに成功。早期発見と最適な治療の提供に貢献すると説明した。

発表会に合わせ、Googleは「日本におけるAIの可能性に向けた提言」と題する文書も公開した。提言では、日本がAIのポテンシャルを最大限に引き出すための3つの柱が示されている。

1つ目は「イノベーションインフラストラクチャへの投資」だ。AIの研究開発やデジタルインフラ、計算資源、オープンガバメントデータへの投資を通じ、イノベーションを促す制度整備の必要性を訴えている。

2つ目は「AI-Readyな労働力の構築」。学生から企業人まで、幅広い人材がAIを活用し、恩恵を享受できる環境を整備するため、教育への投資を求めている。Googleも日本語版の教育プログラム「Google AI Essentials」の提供を開始し、人材育成に注力する姿勢を見せた。

3つ目は「包摂的な導入とアクセシビリティの推進」。健全なAIエコシステムを支えるガバナンス体制の確立を図りつつ、社会のあらゆる領域でAIを活用し、その恩恵を広く共有することを目指すべきだとしている。

Google日本法人の代表取締役である奥山真司氏は、「AIの力を最大限に活用し、日本のあらゆる人々の可能性を広げ、ビジネスに革新をもたらし、地域社会の課題解決を加速させることを目指す」と語った。同社はさらに、AIスキル習得のための教育プログラム「Google AI Essentials」の日本語版提供も開始。AIによる変革を担う人材の育成も強化していく方針だ。

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