SpotifyがHiFiをアドオンとして提供へ 今年後半にも
【東京総合 = エンターテインメント】音楽ストリーミングで最大手のSpotifyは11日、年内にHiFiなどを含んだ上位プランを提供する方針を固めた。複数の関係者が語った。
既存の有料会員がオプションで追加できる「アドオン」として提供する。現行プランより月額5ドル以上高い価格に設定する。詳しい提供時期や価格、機能は今後詰める。高音質オーディオやプレイリスト作成ツールなどの新機能が追加される見通しだ。
Spotifyは2021年2月、ロスレス音源「Spotify HiFi」の提供を発表したが、慢性的な赤字やレーベルとの調整が難航し、延期が続いていた。競合のAmazon MusicやApple Musicは既に同様のサービスを標準プランの一部として提供しており、Spotifyも導入を迫られていた。新プランの価格設定は、ユーザーの現行プランによって異なるが、平均で約40%の値上げになる。
Spotifyはこれまで利用頻度に関わらず一律の料金を課してきたが、ユーザー層に応じた複数の価格を設定する方向に舵を切る。Spotifyは、2024年第1四半期の決算が2四半期ぶりの黒字浮上となった。来四半期も営業利益で黒字を見込む。新プランの導入で同社は数億ドル規模の増収を見込む。音質にこだわるユーザーは、長期的に課金を続けるとみられ、安定的な売上増を狙える。
社内にも、攻めの姿勢をとるべきとの空気感が強い。ユーザーの純増数が鈍化傾向にあることも、1人当たりの課金額(ARPU)を押し上げる方針に転換する後押しをした。
新プランのもう一つの目玉は、ユーザーの行動から学習し、特定の活動や時期に応じたプレイリストを自動生成する機能だ。将来的には、ユーザーが求めなくてもパーソナライズされたプレイリストを提案できるようにする。
2021年6月、Spotifyのダニエル・エクCEOは株主向けに開いた説明会で、2030年までにユーザー数を10億人に増やす目標を掲げている。同年第1四半期に、Spotifyが黒字を確保したことが、この発言につながったと見られる。HiFiプランの提供を示唆したのもこの時期だ。だがその後すぐ赤字に転落し、タカ派的な行動は制限された。HiFiの提供による採算が見込めず、計画の凍結も取り沙汰された。
昨年、Bloombergが2023年後半にも「Supremium」として提供すると報道していたが、先送りされた。今年に入り、アプリ内にHiFiプランに関するコードが記述されていることが発見されるなど、水面下で調整が続いていた。