Apple、WWDCで独自のパスワード管理アプリ「Passwords」発表へ
【東京総合 = WWDC特別班(テクノロジー)】Appleが、パスワード管理アプリを独自開発していることがわかった。来週のWWDC2024で発表する。事情に詳しい関係者の話を元に、米経済メディアBloombergが報じた。
iPhoneやiPad、Macの次期基本ソフト「iOS 18」「iPadOS 18」「macOS 15」にパッケージ化して提供する。パスワードの生成と管理を一元化し、ウェブサイトやソフトウェアへのログインを容易にすることを目指す。日本時間11日に開幕する年次開発者会議「WWDC」で発表する。
Passwordsは、Appleの既存サービス「iCloudキーチェーン」を基盤にした。iCloudキーチェーンは各種デバイス間でパスワードやアカウント情報を同期できるが、これまでは設定アプリ内に埋もれていた。これを独立したアプリにすることで、利用者の拡大とプライバシー保護の強化を図る。
サードパーティー製のパスワード管理ソフトとの競争が激化するのは必至だ。Passwordsは「1Password」や「LastPass」などの有力アプリに真っ向から挑む。Appleは、標準搭載することで競争力を確保できると見る。競合アプリからのパスワード移行も可能にするという。
Passwordsには、ユーザーのログイン情報を一覧表示し、アカウントやWi-Fiネットワーク、アップル社が推奨するパスワード代替技術「Passkeys」などのカテゴリーに分類する機能がある。ウェブサイトやアプリへのログイン時に自動入力される点は、既存のパスワード管理ソフトと共通している。
さらにPasswordsは、Vision ProやWindowsパソコンへの対応も視野に入れる。二段階認証コードの管理や、「Google Authenticator」のような認証アプリとしての機能も備える。
WWDCではPasswordsに加え、Appleの生成AI戦略の発表が大きな注目を集めている。写真の自動編集やAI作成の絵文字、デジタルアシスタント「Siri」の強化などが予定されているほか、「ChatGPT」を提供するOpenAIとの提携も公表されるとみられている。
Appleは先日、NVIDIAに時価総額で抜かれ、米国内3位に転落した。今年時価総額で抜かれるのは、生成AIで先行するMicrosoftに続いて、2社目となる。生成AI戦略の策定は株主からの圧力もあり、急務だ。