マスク氏主導のX、ドメイン変更で「Twitter」の名を捨てる
シリーズ「交差路」では、デジタル経済に関するニュースについて詳しくまとめます。
【東京総合 = テクノロジー】X(旧Twitter)は17日、ドメインをtwitter.comからx.comに変更した。マスク氏が同日、X上で正式に発表した。昨年7月の名称変更(リブランド)から約10ヶ月越しの措置となる。当サイトが2月に報じた通り、アクセス時には「Welcome to x.com!」とのメッセージが表示され、プライバシーポリシーへのリンクも示される。
同社が慎重にドメイン変更を進めてきたのは、月間アクティブユーザー数が約5億人に上る巨大プラットフォームゆえのリスク回避が目的とみられる。水面下では昨年から着々と準備が進められ、共有リンクのX.com化や、アクセスリクエストのTwitter.comへの転送などが実施されてきた。今回の移行で、Twitterの名は完全に捨てられることになる。ただし、画像ファイルの保管先はTwitter由来のドメイン名「twing.com」が使われている。このようなドメインは複数存在しており、周辺サービスのドメイン変更を含めて今後詰めるとみられる。
Xは現在、送金サービスの実装に向けて26の州で免許を取得するなど、金融事業への参入を加速している。インフルエンサー向けの収益分配機能の他にサブスクリプション型のファンクラブ機能も導入したが、いまいち振るわない。
一方、大手メディアや広告主とは対立が続いている。最高技術責任者(CTO)のイーロン・マスク氏は「事実を報じない古いメディア」と批判を繰り返す。差別的コンテンツの増加や、マスク氏自身の発言が誤解を招いたことから、大手広告主の流出も起きており、Xの収支改善は困難な状況だ。
こうした逆風の中、Xはテキスト投稿以外の収益源開拓に力を注ぐ。TVアプリのリリースやリアルタイム配信の強化で、広告主の裾野拡大を図る。有望視する生成AI事業では、対話AIのGrok1.5を発表し、提供開始を急ぐ。
だが、対外的な対立姿勢は各国政府との摩擦を生んでいる。オーストラリアやブラジルでは、Xと当局の溝が深まっている。頻発するシステム障害もユーザーの不信感を募らせている。