OpenAI、GPT-4oを発表 Google I/O控え攻勢 振り返りフォーマット
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OpenAI、GPT-4oを発表 Google I/O控え攻勢

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シリーズ「交差路」では、デジタル経済に関するニュースについて詳しくまとめます。

【東京総合 = テクノロジー】米OpenAIは13日、対話型AI「ChatGPT」の基盤モデルを刷新した「GPT-4o」を発表した。同社のミラ・ムラティ最高技術責任者(CTO)が発表会で披露したデモによれば、GPT-4oは音声や画像の認識機能を大幅に強化。人間と同じスピードで自然な音声での対話を実現した。

昨年11月に発表した「GPT-4ターボ」の後継モデルとして開発した。「o」は「オムニ(omni)」の略で、「すべて」を意味する。テキストだけでなく、音声や画像・映像も統合的に処理できるのが特長だ。

従来のGPT-4ターボは、テキストの入出力を基本とし、音声処理には別のAIモデルを組み合わせる必要があった。これに対しGPT-4oは、1つのAIモデルですべてのタスクをこなす。自然な音声での対話を実現し、話者の声のトーンや周囲の雑音なども認識できる。

画像認識機能も大幅に強化した。手書きの数式をカメラで読み取って瞬時に解答したり、診療記録のX線画像を分析したりできる。OpenAIは「ビジネスで大きなインパクトを生む」(ムラティCTO)と期待を寄せる。APIを通じ、外部の開発者にもGPT-4oの機能を公開。多様なアプリケーション開発を促す。

GPT-4oで追加された音声認識・合成能力は、AppleのSiriを大きく上回る。OpenAIのデモでは、AIアシスタントが人間と自然な会話を交わし、ユーモアや皮肉も交えて感情豊かに受け答えする様子が紹介された。

一方、Siriは「ウェイクワード」(音声認識を開始する合図の言葉)が必要で、コマンドも正確に伝えないと理解できない。自然な会話は苦手だ。AmazonのAlexaも同様の課題を抱える。

サム・アルトマンCEOは、GPT-4oについて「まるで映画『her』(原題)の世界のようだ」とツイートした。同作は、人工知能と恋に落ちる男性を描いたSF恋愛映画で、ヒロインのサマンサは感情豊かな音声アシスタントだ。GPT-4oが現実にそれに近づきつつある、との自信をうかがわせる。

Googleも世界でシェア70%を握る自社のスマホOS「Android」の音声アシスタントにGeminiを搭載した。GeminiはGoogleが開発する最新の生成AIで、ChatGPTと同等の性能を有している。Googleアシスタントの機能を埋め込むことで、従来の機能を維持しつつ、より高度なタスクをこなせるようにした。

ジェミニのロゴが最新のスマートフォンに表示され、背景にはジェミニのウェブサイトがある。 Google DeepMindによって開発された人工知能、大規模な言語モデル、ジェミニ・アドバンスド・サブスクリプションモデル。

Business Insiderによると、ChatGPTの高度化に危機感を募らせたAppleは、Siriの抜本的な改修を指示したという。Apple幹部がChatGPTを試用して「Siriの遅れ」を思い知ったためだ。6月の年次開発者会議WWDCで、Siriの進化の方向性が示されるかもしれない。

Siriには全世界で使われるiPhoneに標準搭載されている点で強みがある。Googleとともに、巨大ITはすでに市場を保有していることから、OpenAIよりも利用者が身近に利用できる。エコシステムや、プライバシー保護を重視する姿勢も、Appleの「独自路線」を支える。

ChatGPTと会話するWebページのUIも、シンプルで直感的な操作性を重視したデザインに一新。PCとスマートフォンの両方に最適化し、幅広いユーザー層の取り込みを狙う。

処理速度は既存モデルの2倍、運用コストは半分に抑えた。今後数週間で一般ユーザー向けに無料公開し、普及を後押しする。

まずは有料ユーザー向けにMac向けデスクトップアプリを今日中にも提供する。生成AIの実用化に向け、ハードウエアを含む包括的な取り組みを加速させている。

GPT-4oの発表は、14日に開幕するグーグルの開発者会議「Google I/O」の前日に行われた。グーグルは会議で、ChatGPT対抗の「Gemini」の最新情報を披露すると見られている。OpenAIは前日に発表することで世間の注目を掻っ攫った。

MicrosoftがOpenAIに多額の出資をしているのに対し、Googleは自前路線を貫く。両雄が切磋琢磨する構図だが、Meta(メタ)やAnthropicといった後発組の台頭も目覚しい。米Bloombergによれば、アラブ首長国連邦のAI研究機関も言語モデル「Falcon」の新版を発表した。中東勢の参入も始まっている。

各社の技術力のほか、安全性の担保や規制への対応力が、勝敗の分かれ目になりそうだ。欧州連合(EU)は先日、世界初のAI規制法案を可決。リスクの高いAIシステムへの規制が現実味を帯びてきた。

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