EU、早くもDMA違反でAppleなど調査開始 巨大IT、対策講じるも足りず
【東京総合 = テクノロジー】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は現地時間25日、デジタル市場法(DMA)に基づき、米国のIT大手Apple、Alphabet(Google)、Metaの3社に対する違反調査を開始したと発表した。
DMAは、デジタル市場における巨大IT(6企業22サービス)の独占的行為を規制することを目的に、今月7日に施行された法律だ。わずか半月で、規制対象とされる6社のうち3社が訴えられる事態になった。各社はDMA施行を前に、サービス内容の変更などを行なったものの、欧州委員会の認める範囲には及ばなかった。
欧州委員会は25日から、AppleとAlphabet傘下のGoogleが自社のアプリストアを不当に優遇している可能性や、Meta傘下のFacebookが個人データを広告目的で不適切に利用している恐れがあるとして調査に乗り出す。また、Googleが検索結果で自社サービスを優先的に表示していることや、Appleがブラウザの選択画面などで競合他社を排除していることについても精査する方針だ。
これらの行為が違法と認定された場合、各社には年間売上高の最大10%、違反を繰り返した場合は最大20%の制裁金が科される。
欧州委員会のマルグレーテ・ヴェスタガー副委員長は、「これらは深刻なケースだ」と述べ、DMAが消費者のために果たすべき役割を強調した。また、ティエリー・ブルトン委員は、3社による問題解決の努力が十分でないと指摘し、「より公平で開かれたデジタル空間」の実現に向けて調査を進める考えを示している。
IT各社は、DMAを遵守していると主張しているが、関係筋からは、規制当局の対応を「早合点」だと批判する声も上がっている。EUは、DMAに基づく巨大IT企業への監視を強化しており、米国でも反トラスト法に基づくApple提訴など、デジタル市場の寡占に対する規制の動きが世界的に広がりつつある。
今回の調査開始の声明で、DMAへの対応を急いできた巨大ITの取り組みが足りないことが浮き彫りになった。DMAの規制対象となる他の6社22サービスに影響を広げる恐れもある。