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EU、Appleに800億円の制裁金 Spotifyの申し立て受け

namiten

【欧州総合 = EU・東京総合 = 経済、国際】
日経傘下の英フィナンシャル・タイムズ(FT)は日本時間18日、欧州連合(EU)が、Appleに対して約5億ユーロ、日本円にして約800億円の制裁金を課す方針を固めたと報じた。Spotifyなどの他社サービスへのユーザー流出を防ぐため、独占的な活動を行っていたと判断した。来月初めにも正式の発表する。Spotifyは2019年、Appleの動きを規制当局に通報していた。

AppleはSpotifyから多額の決済手数料を徴収してきた(東京 = 19日)

Appleは、自社の「Apple Music」への囲い込みを狙い、Spotifyなどの外部サービスへの移行を意図的に阻害した。App Storeなどで30%程度の決済手数料を徴収しており、これがSpotifyの売り上げが増加するほど、競合のAppleが潤うという歪んだ状況を生んだ。Spotifyは、Googleが運営するGoogle Playと契約して、Android上の決済では手数料が発生せず、ほぼ100%が収入となる仕組みを採用している(UCB)。この契約以前は、アプリ内ブラウザを経由してクレジットカード決済を行えるようにしていた。

一方Appleは、2021年までこのような外部決済を認めていなかった。日本の規制当局である公正取引委員会の調査を受けて一部の条件を緩和したほか、直近でも外部アプリストアを認める方向に転換した。ただSpotify幹部はいずれの施策も「完全な茶番だ」と一蹴する。
外部アプリストアを認めたとしても、ダウンロード回数が100万回を超える大手デベロッパーは、1ダウンロードあたりAppleに80円の手数料を徴収される。ユーザー数がX(Twitter)を上回る6億人を抱え、音楽アプリとしては最大手のSpotifyには、この条件は到底受け入れられるものではなかった。

2019年にSpotifyは、Appleの一連の行動が反トラスト法(日本の独占禁止法)に該当する可能性があるとしてEUの規制当局に通報していた。EUはこの通報を受けてAppleに対する調査を開始し、2021年にAppleの外部プラットフォームを通じた決済を封じるのは違法だとして裁判所に提訴していた。

ビッグテックは近年、日本を含む複数の先進国から規制を強化され、逆風にさらされている。特にその動きを強めるEUは、Googleに対して累計80億ユーロ以上の制裁金を課しているほか、Appleの収益源の一つだったライトニング端子を狙い撃ちしてType-C法案を成立させた。

規制強化は時に、自由な経済活動を阻害する本末転倒の事態を生むことがある。ただその一方で、プラットフォームを持つビッグテックが、ユーザーの多いサービスを潰し、自社サービスに流入させることは、健全な活動とは言い難い。独占は技術の成長速度を落とすほか、値上げにつながる。当局には、過不足ない規制運用が求められる。

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