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「Bard」は「Gemini」に 有料プランも公開

namiten

 Googleが生成AIで攻勢を強めている。Googleは日本時間8日から、試験公開されていた会話型AI「Bard」を正式版として再公開すると発表した。併せてサービス名を「Gemini(ジェミニ)」に変更するほか、有料プランやアプリも展開する。

Googleが制作したgeminiという新しい人工知能のエディトリアル写真。

日本時間8日にGoogleが公式に発表した。自然な文章を返してくれるという意味で命名された「詩人(Bard)」は、同社の最新LLMのGeminiと同じブランド名に変更する。AI関連のサービス名を一本化することで、知名度を高める狙いがある。

Googleのスンダー・ピチャイCEOは8日、「Geminiは単なるLLMではなく、生態系全体を支えるものだ」と力を込める。

米IT企業は会話型AIを前面に打ち出す
企業活用するLLMサービス名
GoogleGeminiGemini(旧称Bard)
X(旧Twitter)Grok-1Grok/
OpenAIGPT-3.5、GPT-4ChatGPT
MicrosoftGPT-4Copilot
AmazonAmazon TitanAWS
Meta(旧FaceBook)LLaMAMeta AI

「Gemini Advanced」として有料プランも展開する。Googleは今まで、ほとんどの一般向け生成AIは無料で提供していたが、サービスの維持費が高騰している中で継続的に収益をあげるためには有料サービスの展開はやむを得ないと判断した。

Gemini Advancedを契約しているユーザーが、Geminiと上位モデルGemini Advanced(Ultra 1.0)を自由に切り替える画面。
有料ユーザーはGeminiとGemini Advancedを
スムーズに切り替えることができる(9日 = 東京総合)

有料プランは日本円で月2900円から。初月は無料。Google Oneのプランとして提供する。Google Driveの容量が2TBに増えるなどの付加価値をつけることで、魅力を底上げする。従来のGoogle Oneプランを利用する場合、月3250円の5TB以上のプランでGemini Advancedを活用できる。

特典として、Geminiの3つあったモデルのうち、最も性能の高い「Ultra 1.0」が利用できる。外部の調査会社の性能テストで、現在利用できる多くの大規模言語モデル(LLM)の中で最も高いパフォーマンスを実現したという。コードの生成などで高い性能をみせ、競合の米新興OpenAIが開発するGPT-4ターボと同等だったという。一人ひとりの学習レベルに合わせた小テストの生成なども可能になった。

周辺サービスにもGeminiが導入できるようになる。有料プランに加入しているユーザーは近く、GmailやGoogleドキュメントなどで文書の作成を支援してくれる機能が導入される。履歴書などの作成にも活用できる。招待状の作成も、原案を生成したり、仕上げを行ってくれたりする。

GoogleスライドにもGeminiに埋め込まれたImagen2が、単語を入力するだけで簡単に画像を生成する。ビジネスから個人の幅広い需要を満たせるようにすることで、契約実績を伸ばす。OpenAIがMicrosoftと間接的に周辺サービスに埋め込んでいるのに対し、Googleは自社内で完結させることによって、より緊密な連携に走る。

専用アプリも提供する。Googleが開発するAndroidでは独立したアプリを、競合のiOSではGoogleアプリ内で提供する。Androidでは、ボタンアクションを利用することで、簡単にアプリが起動できるようになる。Googleが発表した活用例では、カメラアプリを開いた状態で電源ボタンを長押しするとGeminiが起動し、写っているものを認識して質問に答えてくれる。

Androidを使ってGeminiを活用している画面。Google提供。カメラアプリを開いた状態で、現在写っている画面をキャプションして、画像内の物体が何かを予測している。
Androidアプリでの動き(Google提供 = 東京で8日)

iOSでは、Googleアプリのホームを開いて、上部に追加されたトグルをGemini側に移動させると、Geminiのチャット画面に切り替わる。現時点で独立したアプリの開発は発表されていない。

iOSのGoogleアプリを使ってGeminiを利用する画面。Google提供。画像をアップロードすることで、Geminiがその料理の作り方を答えてくれている。
iOSアプリでの動き(Google提供 = 東京で8日)

Appleは生成AI事業に沈黙を貫き、株価をジリジリと下げる。MicrosoftとGoogle(Alphabet)は、OS自体に最新のAIを埋め込んで先行する。iOSユーザーにも自社のAIサービスを先に積極活用させることで、Appleを引き離したい動きが透ける。

アプリは来週にも日本語版が追加される見込みだ。

生成AIの研究を先駆けて行ってきたGoogleにとって、現在のOpenAI・Microsoft連合の一人勝ち状態には不満がある。ただその一方で、高性能なAIを提供するほど、Webページを巡回するユーザーが減少し、広告収入が縮小する懸念がある板挟み状態に陥っていた。
しかし、昨年10月ー12月期には、サブスク(継続課金)を広告事業とともに柱とすることを明らかにしており、生成AIを自社のサブスク(Google One)で提供することで、わかりやすい料金体系をアピールして市場の掌握を狙う動きも見せる。Microsoftが企業向けのサービスに前のめりになる中、エンドユーザーに寄り添ってシェアを握りたい考えだ。

(namiten.jp = 東京総合【テクノロジー】)

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