Blueskyが招待制廃止へ 目指すは昔の良き”Twitter”
【東京総合 = テクノロジー】Blueskyが7日から、アカウント作成にコードを必要とする招待制を廃止する。元Twitter CEOでマスク氏とも関係が深いJuck氏が開始したSNSプロジェクトは、一昔前のTwitterを目指してジリジリと知名度を拡大してきた。
ただ、Twitterが残した2006年から16年続く歴史とブランド力を保持するXの脅威になれるかは不透明だ。
BlueskyのX公式アカウントが日本時間7日未明、正式に明らかにした。今まではメールアドレスの事前登録か、既存ユーザーに発行される招待コードが必要だった。事前招待制だったことから「気になっているが使うことができない(Twitterユーザー)」との声が多く、サービス拡大の壁になっていた。
先日にはインパクトが弱く分かりづらいとの評価を受けていた青空のロゴを蝶に変更したほか、日本語に正式対応した。サードパーティ製のサービスも充実しており、APIの有料化を進めるXとは逆方向に動く。
一見、Xからユーザーを奪える材料が揃っているように見えるが、実際は黄信号が灯っている。Instagramを運営するMetaが前倒しで開始したテキストSNS「Threads」もアクティブユーザー数が1億人を最速で突破したというニュース以来、ネガティブなニュースが続き、サービス自体が暗礁に乗り上げている。
「Twitter」という絶対的王者を前に、競合SNSは敗戦を重ねてきた。「Twitter」の16年の積み重ねが、マスク氏によるゲリラ的な機能変更を支える。
Twitterスーパーユーザーの間で移住の雰囲気が広がっているとは言え、利用者構成の多くを占めるライトユーザーの間では「Twitter」のイメージが根強く残る。
これを崩すには、かつてTwitterがそうしたように、先行して使う2.5%のイノベーターが、Blueskyの知名度を拡大させる必要があった。しかし、SNS自体がすでに成熟期に突入する中で、達成するのは難しかった。実際、当サイトのアカウントを含めて、初期に利用を開始した利用者が継続してBlueskyを使っていたとはお世辞にも言えないだろう。Blueskyを「使いたい人が使う」状態ではサービスの拡大は難しい。
ましてやコミュニケーションをとるユーザーがいなければ、承認欲求モンスターの群生地帯であるTwitterの乗り換え先に挙がることすらない。
情報収集能力の低下や、企業判断にも注目が集まる。初期に企業やメディアがアカウントを開設しても、宣伝能力の低さが認められれば撤退は免れない。BBCなど一部大手メディアでは、Threadsでアカウントを閉鎖する動きが広がっている。
広告が少ない現在のUIでは、収益構造も課題になる。Metaは公式マークの有料化などを進め、Xの戦略に近い動きを取る。テキストSNSが黒字経営を保つには、慢性的な赤字が続いたTwitterのような形では生き残れない。ビジネス的には合理的な「X化」に至らないかが注目される。
また、力のない現状ではXの方針に大きく左右される。マストドンの時と同様にXが利用制限をかければ、流入者数は大幅に減少する。
「Twitter」という既得権益を求めて企業を買収したマスク氏に、Xを愛せないTwitterスーパーユーザーが「否」の姿勢を明確に示す唯一の方法は、ビジネス的なTwitterの価値を消すことだ。