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Spotify、耐えた15年 ユーザー数6億人

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 Spotifyのユーザー数が12月に6億人を超えた。2008年10月、インターネット上で違法アップロードが横行していた時代に誕生したSpotifyは、海賊版の撲滅というミッションのもと、巨大企業の圧倒的な影響力に抗しながら、15年間で音楽市場を支えるサービスへと変化した。

スウェーデン・ストックホルム-2021年1月30日:スウェーデンのストックホルムにある、スウェーデンの音楽ストリーミング配信会社Spotifyのオフィスの入り口のガラスドアに掲げられた社名とロゴの看板。
Spotifyのロゴ

Spotifyは、「才能あるアーティストやクリエイターが公正な対価を受け取り、幅広いファンが彼らの作品からインスピレーションを得ることで、人類のクリエイティビティを解き放つ」というミッションを掲げて成長してきた。音楽愛好家とアーティスト間の架け橋となり、定額制音楽配信サービス業界の先駆けとしてその地位を確立してきた。足元では過去最高ペースでユーザーを増やす。

その道のりは決して容易ではなかった。Spotifyの競合には、Google、Amazon、Appleといった時価総額100兆円を超える巨大企業が名を連ねる。アーティストへの著作権料支払いは収益を大きく圧迫し、長らく慢性的な赤字経営に陥っていた。株価は一時、全盛期の1/3にまで落下した。
それでも、音楽に対する想いと「アーティスト第一主義」がユーザーに支持され、6億人を超えるプラットフォームへと成長を遂げた。人員削減や広告事業の拡大など経営改革を行い、2023年には収支が安定的な黒字に傾く。

その一方で、競合は苦戦を強いられている。Amazon Musicは自社サービスとの連携や、プライム会員を優遇するプラン設計を売りにしていたが、売上の伸び悩みからプランを見直した。標的にされたのはプライム会員向けプランの「Amazon Music for Prime」だ。プライム会員はほとんどの曲が視聴可能な代わりに、強制的にシャッフル再生しかできなくなった。

今まで月額600円で、プライムビデオなどと一括で楽しんでいたユーザーは阿鼻叫喚状態。有料プランはプライム会員の会費とは別に980円が請求される。低価格での囲い込み戦略から一転、結果的にユーザー数の減少に直面している。日本で長くシェア率1位を保っていたが、現在はYT MusicやSpotifyに押され4位にまで後退した。

Spotifyが音楽業界にもたらした影響は大きい。元祖サブスク制音楽アプリとして、荒野状態の業界に光を与えた。10年間縮小が続いていた音楽市場を再び拡大に導いたのは間違いなくSpotifyだ。そんな救世主の今後の活躍に期待するばかりである。

縮小を続けていた音楽市場

(namiten.jp = 論説)

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