MrBeast、Twitter(X)に動画投稿 32時間で7500万表示 動画広告が追い風
【東京総合 = テクノロジー】Twitter(X)の動画内広告をはじめとした収益増などのインフルエンサー呼び込み施策の効果が、目に見える段階まで達した。
登録者数を2億3000万人超を抱え、運用形態が個人で世界1位のMrBeast氏は米国時間15日、「Xでどれくらい動画が再生されるか気になる」として、自身が今まで否定してきた「Xでの動画投稿」を始めて行った。投稿から1日が経った現在でもインプレッションは増え続けており、17日14:00現在では表示回数が7500万回を超えている。YouTubeに投稿された直近の動画(3日前)の視聴回数は7040万視聴だった。
Xは、有料プランに加入して電話認証を行ったユーザーに広告収益の一部を分配している。自身のプロフィールや投稿についたプロモーションツイートが対象になる。最近では、タイムライン(TL)に流れる動画内にスキップ可能な動画広告を埋め込むことで収益増を測っている。最近のアップデートで、動画ツイートをTikTokのように次々スクロールできるよう変更されたことで、縦型広告の需要も多くなっている。
このような広告表示の「多様化」や有料会員の増加が、動画インフルエンサーに「収益増」として還元されている。MrBeast氏はこれまで繰り返し、XのCTO兼持ち主のイーロン・マスク氏から動画をYouTubeに投稿するたびに「Xにも動画をあげてください」とリプライを受けていた。今回の施策はマスク氏の影響も大きかったとみられる。
世界TOPレベルのインフルエンサーが動画投稿を始めた影響は非常に大きい。X(Twitter)でYouTubeに投稿した動画の予告編だけでなくフル動画を投稿するインフルエンサーが増える可能性がある。
一方で課題も透け始める。広告単価の明確な基準がないため、収益が乱高下しやすい。X(旧Twitter)一辺倒で動画や記事を投稿するインフルエンサーは出ずらいだろう。複数言語の字幕や副音声も設定できない。あくまでYouTubeのサブ的な役割を果たす立ち位置になりそうだ。
投稿がタイムラインに乗るのは直近48時間程度とされる制約もハードルになる。YouTubeが数年前の動画などを興味に基づいて柔軟に表示できる一方で、コンテンツが目まぐるしく変化する。動画を短期間で伸ばすため、インパクトの強い動画を制作するインフルエンサーが増えるだろう。炎上系の動画が伸びてしまう懸念がある。YouTubeとTikTokでアクセス分析に追われているYouTuberの流入が見込みづらいとも言える。
Twitter「情報収集」の目的で使っているユーザーが多い。10日前のニュースや地震の情報・事件事故を表示しないよう、AIなどを駆使して取捨選択できなければ混乱を招き、Xのさらなる評価低下に繋がりかねない。