SEC、X(旧Twitter)の2段階認証、設定せず ビットコインETF承認めぐり
【東京総合 = テクノロジー】米証券取引委員会(SEC)の公式X(旧Twitter)がハッキングされ、「ビットコインの上場投資信託(ETF)を承認する」とフェイクニュースが投稿された一連の出来事をめぐり、SECのXアカウントが2段階認証を設定していなかった可能性があることが10日、X社の発表で明らかになった。
以前から、SECが暗号資産の現物ETFを承認しないことは「意図的かつ気まぐれと取れる」と連邦裁判所が判断していたことを踏まえ、市場では「今月10日にもETFを承認するのではないか」との憶測が広がっていた。
しかし米国時間9日、ハッキングされたSECの公式Xが、10日と予想されていたETFをめぐり「ビットコイン現物の上場投資信託(ETF)を承認した」とハプニング的な投稿を行ったことで市場は大混乱。ビットコインは急騰した。
ただ、すぐに事態は一転。約20分後にその投稿は削除され、「SECのアカウントがハッキングされた」との報道が出回ると、ビットコインは6%超下げる場面があるなど、数時間で価格が乱高下した。
「X自体のセキュリティが脆弱だったのではないか」との声も上がる中、XはSEC公式アカウントの調査を10日までに行った。
10日、同社はSECがハッキングされた原因を発表し「SECに関連する電話番号が第三者を通じてハッカーに流出していた。また、2段階認証が有効ではなかった」として「X側に非はない」と主張した。
Xは今回の事件をめぐり「パスワードだけではセキュリティ上の懸念がある。2段階認証をオンにすることを強くおすすめする」とアカウント保護を積極的に行うようユーザーに呼びかけた。
ただ、Xの2段階認証の一つ「SMS認証」は有料ユーザー向け機能へと変更されたことでオフにしているユーザーも多く、専用アプリの用意などがハードルとなっている。信頼性向上のためにも2段階認証の重要性を伝えることが今後の課題になる。