小麦価格急騰 中国向け農作物に被害、露「条件満たされれば再開」
namiten
シカゴ穀物市場で19日、小麦先物相場が急騰した。中心限月9月物の清算値は、前日比8.5%高の1ブッシェル7.27ドルとなった。ウクライナ南部オデッサの穀物輸出拠点がロシア軍による連続的な攻撃を受け、輸出が停滞するとの懸念が市場に浮上したためだ。ロイター通信によると、この相場上昇率は、ロシアが2022年2月にウクライナへの侵攻を開始して以来、1日における最大の上昇となったという。
ロシア軍は、ミサイルやドローン(無人機)でオデッサ港を18日と19日の2日連続で攻撃した。この攻撃は、ロシアが14年に併合し占領下に置いているクリミア半島とロシアを結ぶクリミア橋への攻撃に対する報復と見られる。
ウクライナ政府は、この攻撃により約6万トンの農作物が被害を受けたと発表した。ウクライナ産の穀物は収穫期を迎え、輸出が大きく影響を受けるとの見方が強まっている。さらに、ロシアはトルコ経由のウクライナ産穀物輸出に関する合意から離脱し、黒海を通じてウクライナの港に向かう全ての船舶入港を原則として認めない姿勢を示している。これにより、ウクライナ産小麦の輸出が大幅に減るとの見方が強まった。
地政学的なリスクが増大する中、ウクライナ政府は隣国ルーマニアまでの臨時の輸出航路を設定し、国際海事機関(IMO)に通告した。しかし、ロシアの船舶入港拒否姿勢を受けて、不透明な状況が続いている。
経済的な影響も大きく、ウクライナ大統領のゼレンスキー氏は「中国向けの農作物が保管されていた」と指摘し、輸出回廊を再び機能させるための選択肢を検討していると述べた。
ロシアのプーチン大統領は現在の形態での穀物輸出合意の延長には合意しない方針とする一方、条件が満たされれば合意を再開する準備はあると表明した。
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